この物語の主人公。ある事情により云津名村を訪れた際に事件に巻き込まれる。癖のある長い髪に挑発的な瞳、どこか尊大な態度や口調も相成って見た目は悪人のように見える為、敬遠されがち。しかし、その実外見に似合わず、お節介で親切な面もある。

いつも一人で静かに佇んでいる白いワンピース姿の儚げな美少女。久遠寺家の奥方の娘で現当主の孫に当たる。人見知りが強く、大人しい性格で、あまり人に懐く事がないが、くろゑが村に来て以来、なぜかずっと彼の後をついて回っている。

旧家、久遠寺家当主の娘で静音の母。実質的に久遠寺家の意向を表す役目を担う人物。村人からは奥方と呼ばれている。夫を亡くした未亡人で髪を結い上げ、上品なドレスを纏った凛とした姿は気品を感じさせると共に、どこか近寄りがたい雰囲気もある。

淡い色の柔らかな髪に色白の肌を持つ美貌の青年。奥方の弟で、静音の叔父に当たる人物。普段は洋館の自室で村の風景等を描いており、あまり外に出る事はない。いつも世を儚むような物憂げな様子で、何かと詩的な言い回しをする事が多い。

若いながらに、いくつもの事件を解決してきた実力派の女刑事。男勝りの強気な性格で、やや直情的ではあるが、情に厚く部下の信頼も高い。仕事が第一で普段からの鍛錬がモットーの体力派だが時に女らしい一面を見せる。くろゑをライバル視している。

飯津名村の青年団をまとめる青年団長。髪は、さっぱりと短く切り、農作業で鍛えられら逞しい体格をしている。村を訪れたくろゑを村で起こった事件の犯人だと思い込んでいる。村人達からは何かと頼りにされている兄貴気質の人物だが、やや頭の堅い所がある。

都会の大学から教授と共に農業の現地実習に来ている農大生。明るく人当たりのいい青年で、誰にでも気さくに話しかけるので、閉鎖がちの村の人達からも好かれている。年の近いくろゑにも気軽に話しかけてくる。やや影が薄い。